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疲労・骨粗しょう症・免疫低下…pHバランスが崩れると起こること

  • 執筆者の写真: サクマ マサヒロ
    サクマ マサヒロ
  • 8月18日
  • 読了時間: 5分

「疲れが取れにくい」「風邪をひきやすい」「骨密度は正常なのに骨折しやすい」


そんな不調の背景には、体内のpHバランスが関わっているかもしれません。


■ 体は“弱アルカリ性”をキープしている


人間の血液は、pH 7.35〜7.45 の弱アルカリ性に保たれています。


この範囲を外れると命に関わるため、体は常に「恒常性(ホメオスタシス)」を働かせ、微妙なバランスを維持しているのです。


つまり、普段の食事や生活習慣で体が酸性に傾いても、血液そのものが酸性になるわけではありません。


しかしその分、体はあらゆる“調整作業”を行ってバランスを守ろうとします。



■ 血液のpHを保つ3つの仕組み


人間の血液が pH 7.35〜7.45 の弱アルカリ性を厳密に保てるのは、体に以下のような「調整システム」が備わっているからです。


① 緩衝システム(バッファー)

血液には「炭酸(H₂CO₃)− 重炭酸イオン(HCO₃⁻)」系というのがあって、余分な酸やアルカリが入ってきても、すぐに中和してpH変化を最小限に抑えます(即時調整)。


② 呼吸(肺)

体が酸性に傾くと呼吸が速く浅く なり、二酸化炭素(CO₂)を体外へ排出し、

逆にアルカリ性に傾くと呼吸がゆっくりになり、CO₂を体内にとどめてバランスを調整します(短期調整)。


③ 腎臓

尿を通じて酸やアルカリを排泄・再吸収 し、血液のpHを長期的に安定化します(長期調整)。


血液のpHを保つ3つの仕組
血液のpHを保つ3つの仕組


■ 酸性寄りの生活習慣が引き起こすこと


肉や加工食品、砂糖、アルコールなどの「酸性食品」が多い食生活を続けると、体はpHを保つために以下のような反応を起こします。


・骨からカルシウムを溶かして中和する → 骨がもろくなるリスク(骨密度低下)

・筋肉からアミノ酸を動員してバランスを取る → 筋肉量の減少や疲労感

・腎臓に負担がかかる → 慢性的な疲れやすさ


この状態が長く続くと、骨粗しょう症・慢性疲労・免疫力低下などにつながりやすくなります。


実際にあった例を紹介すると、


【実例】軽度アシドーシス


① 50代女性。

骨密度は正常だが骨折を繰り返す。

食生活は肉中心で野菜少なめ。

血液検査でカルシウム不足はなし。

その結果、尿中のカルシウム排泄量が多く、酸性寄りの生活が骨質劣化を招いていた。


② 40代男性。

糖質中心の外食生活と強い仕事のストレス。

慢性疲労と腰痛。

pHを意識して食事を改善したところ、半年で疲労感が大幅減少した。


アシドーシス(酸性化)とは、血液や体液のpHが酸性に傾き(7.35未満)、恒常性(ホメオスタシス)が崩れることを言います。


pHが7.45を超えてアルカリ性に傾いた場合はアルカローシスと診断されますが、一般的にアシドーシスの方がより頻繁に起こります。


アシドーシスには代謝性 と 呼吸性 の2種類があり、前者は代謝の異常でH⁺の増加やHCO₃⁻が減少することにより起こり、また、後者は呼吸の異常で二酸化炭素(CO₂)がうまく排出できずに体内で炭酸(H₂CO₃)が増えることにより起こります。


アシドーシスになると、酵素反応が働きにくくなる、倦怠感、呼吸異常などが起こり、重度の場合は昏睡や死に至ることもあります。



■ アルカリ性食品で“調整作業”を助ける


野菜や果物、海藻、きのこ、豆類などの「アルカリ性食品」には、カリウムやマグネシウムが豊富に含まれています。


これらは体内で酸を中和する働きを助け、恒常性を守るための負担を軽くしてくれます。


ここで誤解しないでいただきたいのは、アルカリ性食品を食べたからといって血液がアルカリ性になるわけではないということ。


アルカリ性食品は、あくまで「体が無理なくバランスを維持できるようにサポートしてくれる」存在なのです。



■ 酸性食品とアルカリ性食品の代表例


・酸性食品(摂りすぎ注意)

肉類(牛・豚・鶏)、魚介類、卵、乳製品、砂糖、白米、小麦製品(パン・麺類)、加工食品、アルコール、コーヒー


・アルカリ性食品(積極的に取りたい)

野菜(ほうれん草・ブロッコリー・キャベツ・にんじん)、果物(バナナ・りんご・レモン・キウイ)、海藻(わかめ・昆布・ひじき)、豆類(大豆・枝豆・納豆)、きのこ類


尚、梅干しもアルカリ性食品に分類されており、梅干しには クエン酸が多く含まれ、疲労回復やpHバランス調整に役立ちます。


昔ながらの梅干しは塩分が15〜20% と高めなので、選ぶ場合は、減塩タイプ(塩分3〜8%)を選び、添加物をチェックして、原材料が「梅・塩・紫蘇」だけのようなシンプルなものを選ぶようにします。


量は、塩分を取り過ぎないように、「1日1粒」程度に抑えます。


「アルカリ性食品だけを食べる」のではなく、酸性食品とのバランスを意識することが大事です。


例えば、肉や魚を食べるときには、同じ食事の中に野菜や海藻をたっぷり合わせるのがおすすめです。



以上をまとめると、


・血液のpHは厳密に管理されている(7.35〜7.45)。

・酸性食品の摂りすぎは、骨や筋肉から“借金”してバランスを保つため、骨折や疲労のリスクを高める。

・アルカリ性食品は血液を変えるのではなく、体の調整作業を助ける役割を持つ。

・日常の食事で「肉+野菜」「魚+海藻」といった組み合わせを意識すると、バランスが整いやすい。


pHバランスを守ること」は、健康寿命を延ばすことにも繋がります。


日々の食習慣で酸性食品の取りすぎに注意し、“アルカリ性食品のサポート”を加える工夫をしましょう。








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