食品の酸化と体の酸化―どちらも健康寿命を縮めるワケ
- サクマ マサヒロ

- 8月21日
- 読了時間: 4分
「酸化」という言葉を聞くと、多くの人は 油の酸化 や 食品の劣化 を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、酸化は食品の中だけでなく、私たちの体の中でも日々起こっており、それが老化や病気の根本原因に関わっています。
■ 食品の酸化 ― 油と加工食品の落とし穴
揚げ物やスナック菓子に使われる油は、時間が経つと酸化して「過酸化脂質」を生じます。
過酸化脂質は体に入ると細胞膜や血管を傷つけ、動脈硬化や炎症のリスクを高めることがわかっています。
また、トランス脂肪酸や保存料の多い加工食品も、体内で酸化ストレスを増加させる要因になります。
つまり、「食品の酸化」を取り入れることは、体内の酸化を加速させるのです。
■ 体内の酸化 ― 活性酸素による“サビつき”
体の中での酸化は「活性酸素」が主役です。
活性酸素(Reactive Oxygen Species)は体内で代謝の過程や外部刺激によって自然に発生する酸素の“攻撃型”分子のことです。
活性酸素は、白血球(特に好中球やマクロファージ)が細菌やウイルスなどの異物を攻撃する際、病原体を殺菌する武器として放出したり、細胞の成長や修復の「情報伝達分子」としても働きます。
運動すると筋肉で活性酸素が増えますが、適度なストレスとして働くことで、体の恒常性を鍛える効果もあります。
このように活性酸素は体にとって必要な存在ですが、「作りすぎ・処理しきれない」状態になると酸化ストレスになり、有害にもなるのです(両刃の剣)。
代表的な活性酸素の種類は以下の4種類です。
① スーパーオキシドアニオン(O₂⁻・)
酸素分子(O₂)が電子を1つ受け取ることで発生。 ミトコンドリアでの酸素呼吸や炎症反応、代謝過程で生成されます。
初期に生成される活性酸素の代表格。
反応性は比較的弱いが、次の強力な活性酸素の材料になる。
② 過酸化水素(H₂O₂)
スーパーオキシド(O₂⁻・)がスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)によって分解されてできる。
自身はそこまで毒性が強くないが、鉄イオン(Fe²⁺)と反応すると非常に強いヒドロキシルラジカル(·OH)が発生。
③ ヒドロキシルラジカル(·OH)
過酸化水素が過剰な鉄イオンと反応してできる(Fenton反応)。
活性酸素の中で最も反応性が強く、DNA、タンパク質、脂質を無差別に攻撃し細胞障害を起こす。
一度発生すると体内の酵素ではほとんど除去できない。
④ 一重項酸素(¹O₂)
外的要因(紫外線、放射線、喫煙、化学物質、大気汚染)で発生する。
脂質(二重結合)に攻撃して脂質過酸化を引き起こす。
呼吸によってエネルギーを作る過程で、必ず活性酸素は生まれます。
通常は抗酸化システムが処理しますが、以下の要因で増えすぎてしまいます。
過剰なストレスや睡眠不足
過度な飲酒・喫煙
紫外線や大気汚染
激しい運動や高血糖
活性酸素が細胞を傷つけると、DNAの損傷やコラーゲンの劣化、免疫の低下につながり、結果として老化や生活習慣病のリスクを高めます。

■ 抗酸化力がカギ!食品と体の両面ケアを
私たちには ビタミンC・E、グルタチオン、酵素類 などによる抗酸化システムが備わっています。
しかし現代人の生活習慣では追いつかないことも多いため、食と生活の両面からケアすることが大切です。
✔ 食品からの工夫
色の濃い野菜や果物(ポリフェノール、ビタミン類)
良質なオメガ3脂肪酸(魚・えごま油・亜麻仁油)
酸化した油や加工食品を避ける
✔ 生活習慣の工夫
適度な運動(ウォーキングやヨガなど)
十分な睡眠
ストレスマネジメント(呼吸法・瞑想など)
■ 抗酸化サプリは必要か?
サプリメントはあくまで 補助的な役割 です。
野菜や果物から摂れる抗酸化物質には、単一成分のサプリにはない「相乗効果」があることが研究でわかっています。
ただし、ストレス過多・加工食品中心・野菜不足の生活ではサプリでの補強も有効です。
基本は 食事・生活習慣で抗酸化力を底上げし、必要に応じてサプリを活用するというスタンスが安心です。
まとめると、
酸化は「食品の中」でも「体の中」でも起きており、どちらも老化・病気に直結する。
酸化を防ぐには、食品選び(酸化した油を避ける)と体内ケア(抗酸化力を高める)の両面が大切。
抗酸化サプリは補助として活用しつつ、まずは生活習慣の改善から。
“体のサビ”を防ぐことが健康寿命を延ばすことに繋がります。
酸化(サビ)を防ぐための食品選びや体内ケアのサポートなら、予防医学的アプローチのスペシャリストのヘルスケアコーチにおまかせください。



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