血糖値が少し高めは糖尿病予備軍? 未病の段階でできる予防とケア
- サクマ マサヒロ

- 9月9日
- 読了時間: 4分
健康診断で「血糖値が少し高め」と言われたことはありませんか?
実はこの状態こそ、病気の一歩手前=未病の段階です。
放置すると糖尿病に進む可能性が高まります。
厚生労働省や国民健康・栄養調査のデータによると(2022年推定値)、
糖尿病が強く疑われる人はおよそ1,000万人、糖尿病の可能性を否定できない(予備軍)人はおよそ1,000万人。
合わせて 2,000万人(成人の約5〜6人に1人)が糖尿病またはその予備軍とされています。
つまり「特別な人の病気」ではなく、誰にでも起こりうる身近な未病なのです。

1. 糖尿病になるのはどうして?
私たちは食事をすると、栄養素の一部は糖となって腸から吸収されます。
糖はからだにとって大切であり、食事をしたときも食べていないときも、血液の流れに乗って、からだのあらゆる臓器や組織へめぐります。
筋肉などの細胞までたどり着いた糖は、インスリンの助けを借りて細胞に取り込まれ、からだが活動するためのエネルギー源となります。
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、細胞のドアを開ける鍵のような役割を果たし、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています(図2参照)。
糖尿病とは、血糖値が慢性的に高くなる病気です。
血糖値が何年間も高いままで放置されると、血管が傷つき、将来的には心臓病や合併症などの重い病気につながります。
糖尿病の種類には、若年者に多い“1型糖尿病”、中高年に多い“2型糖尿病”、妊娠中に初めて診断される“妊娠糖尿病”、“その他の特殊な糖尿病”などがありますが、2型糖尿病は全糖尿病の90〜95%を占めます。
原因は大きく2つあります。
①インスリン不足
血糖を下げるホルモン「インスリン」が十分に分泌されない。
②インスリン抵抗性
インスリンは出ているのに、効きが悪くなり血糖が下がらない。
特に2型糖尿病(成人に多いタイプ)は、日本人は欧米人に比べてインスリン分泌能が弱いため発症しやすく、食べすぎ・運動不足・肥満・ストレス・睡眠不足などの生活習慣の積み重ねが大きく影響します。

2. 糖尿病予備軍とは?
以下のような血糖値が少し高めの状態は、糖尿病の一歩手前=糖尿病予備軍 と呼ばれます。
空腹時血糖:100〜125 mg/dL
HbA1c:5.6〜6.4%
この範囲に当てはまる人は、糖尿病になる可能性が高いとされています。
3. 糖尿病予備軍の特徴
自覚症状がほとんどないのが厄介な点です。
ただし、以下のようなサインが出ることもあります。
・疲れやすい
・のどが渇きやすい
・尿の回数が増える
・傷が治りにくい
放置すると糖尿病に進み、さらに網膜症・腎症・神経障害といった合併症のリスクも高まります。
4. 糖尿病の怖さは「合併症」にある
糖尿病が進行すると、血糖値そのものよりも合併症が大きな問題になります。
・糖尿病網膜症:視力低下や失明の原因に
・糖尿病腎症:人工透析が必要になるケースも
・糖尿病神経障害:手足のしびれや壊疽
糖尿病予備軍の段階では自覚症状がほとんどなく、気づかないうちにリスクが進行するのが特徴です。
5. 遺伝と生活習慣の関係
糖尿病には遺伝要因も影響します。
・両親や兄弟姉妹に糖尿病がある場合、発症リスクは高まる
・インスリンの分泌が少ない体質を持っている
体質によって「なりやすい人」がいますが、多くは、過食・運動不足・肥満・睡眠不足・ストレスといった生活習慣が大きな要因です。
6. 糖尿病予備軍を防ぐ生活習慣
食事:糖質を控えめにし、野菜・魚・豆類を増やす
運動:週150分程度の有酸素運動(ウォーキングなど)+軽い筋トレで筋肉量を維持
睡眠:質のよい7時間前後の睡眠でホルモンバランスを整える
ストレス:深呼吸・瞑想・趣味で心を整える
体重管理:特に内臓脂肪型肥満を減らすことが大切
7. ヘルスケアコーチングによるサポートの利点
「わかっているけど続かない」という課題を解決するのがヘルスケアコーチングです。
・日々の食事・運動を一緒に振り返り、改善ポイントを探す
・無理なく続けられる習慣化の工夫を提案
・小さな成功を積み重ねてモチベーションを維持
・必要に応じて医療機関の受診をすすめる
糖尿病予備軍の段階でケアすれば、多くは発症を防げます。
未来の健康を守るために、「未病の今」から始めることが大切です。



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